【写真館の日常】ご遺影の制作依頼、こつこつとレタッチ。
9月後半にさしかかり、やっと秋の空が見えてきました。
と思いながらも、なかなかの暑い晴天が続いていますね。
私自身、4日連続体育祭撮影の真っ只中という繁忙期。
他のスタッフさんも、修学旅行や学校の遠足に出かけています。
今日は体育祭からの帰り、ご遺影制作の作業をしておりました。
レタッチの技術が上がり、小さい写真からのご遺影制作も品質が上がっています。
とはいえ、写真の複製からのご遺影制作には限界もあり、悩みどころです。
今日のお写真では、娘様の御婚礼写真からの、お父様のご遺影制作。
どこか他のお店で撮られた型物(かたもの)のお写真なのですが、
お父様のネクタイが曲がっており、そのネクタイの角度や布地の合わせの修整を、
違和感が出ない程度にこつこつと直しておりました。
私たち写真屋/写真師にとって、型物写真(和装の婚礼等の伝統的なスタイルの写真)は特別なもので、
とくに細心の注意を払って撮影します。
型物の撮影で、(主役ではないとはいえ)ネクタイが曲がっていたり、
色打掛の半衿のところが白トビしていたり、ということはあってはならないと心得ているものです。
ご遺影制作で、元の写真をただ大きく引き伸ばして四切サイズにする、ということ自体は簡単ですが、
今後何十年と飾られるご遺影写真のネクタイが曲がったままというのは大変忍びないと、私は思いました。
大きく引き伸ばした分、どうしても輪郭等がぼやけてしまうものではありますが、
そういった部分もできるだけ鮮明になるようにレタッチし、肌も可能な限りは修整し、
ネクタイ等が曲がっていれば直し、そうやってご遺影の制作を行っております。
レタッチでのネクタイの直しなどは、本来は必要のない(撮影時に直しておくべき)もので。
すべての型物を撮るフォトグラファーは、自分の撮った写真が今後数十年と残っていくことに、
全神経をかけて責任を持ってほしいなと、ご遺影の修整を行いながら襟を正した午後でした。
From Yohei